星天qlayとは

2024.10.10

彩り豊かなご飯で人々を迎え、交流が生まれるまちのご飯屋さん/惣ざいと土鍋ごはん 時々クラフトビール。SAI.

Cゾーンにある「惣ざいと土鍋ごはん 時々クラフトビール。SAI.」(以下、SAI.)。ロケや撮影現場、各種イベントなどにケータリングサービスを行う「​MEEKSTYLE CATERING & EVENTS」(以下、MEEKSTYLE)が初めて構えた飲食店です。

温かみのあるウッド調のカウンターが特徴的な店内では、土鍋で炊いたおいしいご飯と、MEEKSTYLE同様、彩り豊かで健康的な料理を楽しむことができます。フラッと立ち寄って、集まって、おいしいものを食べながら交流できる。そんなお店を目指しているというオーナーの佐藤みやこさんに、「SAI.」、そして星天エリアへの思いを聞きました。

 

仕事帰りに立ち寄れるご飯屋さんを作りたい

「SAI.」外観

2020年に佐藤さんが立ち上げ、ケータリングが人気を博しているMEEKSTYLE。今回なぜ、星川に飲食店を構えることになったのでしょうか?

佐藤さん「2020年にMEEKSTYLEを立ち上げる前は会社員をしていて、星川駅から都心まで通勤していました。会社の周りには飲食店がたくさんあるけれど、家の近くは仕事帰りに軽く飲みながらご飯を食べられるお店がほとんどなくて。このエリアには同じように感じている人がたくさんいるのではないかと思い、自分で何かやりたいなとぼんやり願望を持っていました。MEEKSTYLEを立ち上げてからしばらくして、自分の生活圏に近い星川・天王町の高架下に商業施設ができることを知り、自ら問い合わせをして出店することになりました」

 

素材と彩りにこだわった「SAI.」のご飯

こだわりは、「ちゃんとおいしいものを出すこと」と語る佐藤さん。土鍋で炊いたごはんや横浜の地場野菜・有機野菜を使うなど、食材と調理方法にこだわったおいしい料理を提供しています。

佐藤さん「料理は基本的には無添加で、素材もなるべく良いものを使うようこだわっています。副菜でお出ししているにんじんしりしりは子どもウケが良くて、『うちの子はにんじん嫌いなのに食べれました』と言っていただくことが多いです。余計なものは何も入れていないので、きちんと素材の味が生きているのだと思います。うちの料理を食べて、食べられないものが食べられるようになったと言ってもらえるのは嬉しいです」

にんじん嫌いの人からも好評なにんじんしりしり

美味しさや素材の良さに加えて、「SAI.」の料理を語るうえで欠かせないのが彩りの良さ。佐藤さんは料理をつくるときに、味はもちろん、色のバランスからメニューを考えることが多いのだそうです。「SAI.」の定食には彩豊かな副菜が添えられており、塩さばや国産若鶏もものからあげなど、定食の定番メニューを味わうことができます。なかでも銀だらの西京焼きは、味噌だれから佐藤さんが作っているこだわりの一品です。

エビのココナッツ煮

そんなこだわりのメニューが揃うなか、異彩を放っているのが「エビのココナッツ煮」。お店では通称「エビココ」と呼ばれているこのメニューは、佐藤さんの一押しメニューだそうです。

佐藤さん「エビココはタイ風だけど甘い味わいで、ココナッツミルクを煮たスープがご飯によく合うんです。1度食べたらハマってしまい、お客さんにおすすめを聞かれたら必ずエビココを勧めるスタッフがいるくらい、おすすめの一品です」

~~POINT~~
「SAI.」では、見た目が鮮やかなお弁当も販売。1月に開催された星天qlayフェスではあっという間に完売になった人気ぶりだ。カラフルで身体に優しいお弁当は、予約制で販売中。

 

限定メニューが楽しめる特別な夜

8月に開催された宴の料理

地域の方に「SAI.」を知ってもらいたいという思いで、7月から「宴」という夜のイベントを開催。およそ月に1度のペースで開催されており、テーマに沿った特別メニューを味わうことができます。7月はメキシコ、8月はタイをテーマに、佐藤さんが腕を振るった料理が店内に並びました。

佐藤さん「大学時代アメリカに住んでいたので、いろいろな国の友達ができて、いろいろな国の料理を食べました。当時の日本は今ほどエスニック料理のお店が多くなかったので、アメリカに行って、私にとって未知の食べ物とたくさん出会ったんです。そんな経緯があってエスニック料理も好きなので、『SAI.』では和食にこだわらず、自分が作りたい料理、おもてなししたい料理を出すというスタンスで営業しています」

 

ハーレムのbarberのようなお店に

イベント開催時はテーブル席をなくし、会話が生まれやすい空間になっている

「SAI.」では、「いらっしゃいませ」ではなく、「こんにちは」、「こんばんは」とお客さんを迎えているのだとか。その背景には、佐藤さんのこんな思いがあるそうです。

佐藤さん「人間は機械ではないので、ふれあいや交流がないともったいないと思っていて。ニューヨーク・ハーレムのbarber(床屋)のように、自然と人が集まってきて世間話をする。そんなところが星川にもあったらいいなと思っていました。なので『SAI.』は、フラッと立ち寄って、集まって、おいしいものを食べながら交流できるお店にするのが理想です。そこにいることで新しい生きかたを見つけたり、いろいろな発見がある場所にできたらと思います。

地域の方には、お腹が空いたときや、話を聞いてほしい夜に来ていただけたら嬉しいです。女性スタッフが多いので、女性1人でも入りやすいと言ってくださるお客さんがたくさんいらっしゃいます。お子さんが修学旅行でいなかったり、ご家族がお子さんの面倒を見てくれていたりというときにフラッと来てくださるママさんも多いので、そんな風に特別な一人時間を過ごす場としても使っていただけたらと思います」

~~POINT~~
クラフトビールを中心に、ワイン、ジン、ウイスキー、テキーラ、レモンサワーなど、お酒も取り揃えている。カウンター席でスタッフと話をしながら、お酒片手に一品料理を楽しむのもおすすめだ。

 

「こうあるべき」の殻を破る

10年以上、星川に住んでいる佐藤さん。星川というまち、そして新しくできた星天qlayをどのように感じているのでしょうか?

佐藤さん「相鉄線が高架化する前のまちも知っているので、星天qlayができてかなり印象が変わったなと思います。ただ、もう少し変われそうな気もしていて。目標はお店の前に並んでもらうことなので、工夫して試行錯誤して、頑張るしかないなと思っています。

ギャザリング(※)に参加した際には、飲食系のテナントで、それぞれのお店の商品を詰め合わせたフードBOXが作れたらおもしろいねと話をしていました。テナントさんごとにルールや制約があるとは思いますが、一緒にできることもあるかもしれないと感じました」

(※)星天qlayのテナントの集まり。2024年度は6回開催予定。

 

最後に星天qlayのコンセプトである「生きかたを、遊ぶ」について、佐藤さんはどのように考えているかを聞きました。

佐藤さん「『生きかたを、遊ぶ』は、『固定概念にとらわれないで楽しむ』ということでしょうか。私自身は頭が固くて、『こうあるべき』と考えてしまいがちなのですが、それだと損をするなと思うこともあって。枠にとらわれるよりは、そこから外れた方が発見や楽しみが多いので、豊かになりますよね。

そんな風に考えるようになったのは、身の回りで他界する人が多く、自分もいつそうなるか分からないと意識するようになり、楽しまないともったいないと思うようになったこと。そして、お客さんがどうしたら来てくれるだろうと考える時間が増えたことが影響していると思います。時間は有限だから、1つのことに縛られるとやるべきこともやれなくなってしまう。今、自分は殻を破っている最中なのだと思います。星天qlayに来てそういう自分に出会えたことは、いいタイミングなのかもしれません」

彩り豊かで身体に優しい料理と共に、「こんにちは」と迎えてくれるSAI.。星天に暮らす人々の日常に溶け込み、これからさらに、まちに愛されるお店になっていくだろう。

 

取材・文/橋本彩香

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