2025.03.12
【アフターレポート】冬をあそぶ、ホシテンピクニック Hoshiten Playful Winter Picnic
晴天と穏やかな気候に恵まれた、2月の第3土曜日。 “冬をあそぶ、ホシテンピクニック”を合言葉に、「Hoshiten Playful Winter Picnic」が開催されました。
星天qlayは、相鉄本線・星川駅〜天王町駅間の約1.4kmにわたりA~Eの5つのゾーンを展開する高架下施設です。遊び、学び、コミュニケーションなどを通し、人とのつながりを大切にしている星天qlayでは「生きかたを、遊ぶまち」というコンセプトを掲げています。
今回のベントでは、星天qlayの店舗による出張販売やキッチンカーの登場でにぎわう芝生広場でのピクニック、大道芸ワークショップにヨガ体験、“遊び”を切り口に暮らしを考えるトークイベント「星天qlay LAB(ラボ)」、地域の子ども1日店長によるお弁当販売などなど…他にも盛りだくさんの企画が行われました。
特別じゃなくていい。日常のなかにささやかなワクワクを届けたい。そんな思いから始まった星天qlayの日。地域の人々と共に、大いに盛り上がったイベントの様子をレポートしていきます!
心と身体を遊ぼう!芝生広場でのピクニック
Cゾーン芝生広場には、ラグや遊び道具の貸し出しも用意されていました。芝生の上に腰をおろし、子どもと大人が一緒になってピクニックを楽しむ様子が見られました。
同じくCゾーンにある「Patisserie&Cafe PINEDE」の出張販売も行われました。商品はピクニックのお供にぴったりなミニクロワッサンとアップルパイです。イベントの開始から終了まで、お客さんが途切れることのない人気企画でした。
PINEDE「お店での販売と、外での販売はやっぱり空気感が違って新鮮です。たまたま通りかかったお客さんも興味を持ってくれるよう、声掛けや挨拶を頑張っています」
今日のおやつに、と笑顔で購入していくお客さんがたくさんいらっしゃいました。
芝生広場には地域のお店のキッチンカーも登場しました。今回参加したのは、インドネシアの伝統料理ミーゴレンやナシゴレンを提供する「アジアン・ゴーヤングリダ」と、食べ応え抜群のキューバサンド販売店「Red Barn」です。刺激的な香りに食欲をそそられました。
また今回の目玉企画の1つ、「星天クエスト」の景品交換場所もこの芝生広場でした。星天qlayの各ゾーンにあるヒントを探して答えを見つけるこちらの企画。星天qlayの各ゾーンを超えて足を運ぶ機会になったという声も聞こえました。
体験型企画・星天ヨガと大道芸ワークショップ
午後からは初心者向けヨガ教室も開催されました。講師は星天qlay Dゾーンにある「YADORESI」に住むコミュニティビルダーのこっしーさん。こっしーさんはYADOKARIが運営するシェアハウスの「YADORESI」に住みながら、ヨガのインストラクターや理学療法士としても活躍されています。
何してるのー!と興味津々な子どもたちの声が聞こえる中、気持ちよく身体を伸ばしながら静かに自分と向き合うひとときを過ごしました。日頃の疲れや緊張を癒す、マインドフルネスな時間となりました。
子どもたちに特に人気だったのは、、ターニーさんによる大道芸ワークショップです。こっしーさんと同じく「YADORESI」の住人であるターニーさんは、コンピューターゲームの制作や、皿回しやけん玉などの道具で遊ぶことが趣味だそう。
ひょいっと簡単そうにけん玉を成功させるターニーさんを見て、子どもたちは大喜びです。次は僕、私も!とたくさんの子どもたちが集まってきました。
ママやってみてよ、と言われて苦戦するご両親と面白がる子どもたち。芝生広場には幸せな笑い声が満ちていました。
「遊び」から人生の学びを考える【星天qlay LAB vol.9】
Bゾーンのqlaytion galleryでは「“遊び”がひらく、こどもとおとなの“人生の学び” 〜感性を織り、つながりを紡ぐ工房(アトリエ)のある暮らしとは〜」というタイトルのトークイベント、星天qlay LAB vol.9 が行われました。
星天qlay LAB(ラボ)とは、暮らしやまち・消費・学び・働き方など、多様な切り口を “遊び” の視点で捉え直し、探求するトークイベント。
今回はCゾーンにある「手織工房じょうた」主宰の城達也さんと、東京都府中市にて「ズッコロッカ」という遊びのアトリエを運営する水野明香さんにご登壇いただきました。
城さんは「さをり織り」の創始者・城みさをの孫であり、自分の感性が自然と流れ出る織物にいつしか魅了されるようになりました。元々は織物とは無縁の生活を送っており、美術の専門知識があるわけでもないという城さん。
しかし時間をかけて織機の前で糸を紡ぐうちに、感性に溢れた自分の姿に気づき幸福感に満ちる感覚を味わったそうです。
「織物を続けていると、赤とか青というような色の名前に意味がなくなっていくんです。ここは温かみのある雰囲気にしよう、ちょっとクールな感じにしよう、そうやって自分の感覚を頼りに色を自然に手に取っています」
城さんによると、感性とは使い続けることで自然と表に出てくるものだそう。インターネットやAIの発達により瞬時に情報が得られるようになった世の中で、私たちは生まれながらに持っている感性や想像力をどれだけ大切にできるでしょうか。この先どのように感性と向き合っていくべきなのかを問われているように感じました。
図画工作の教員経験を持つ水野明香さんは、各地で「遊び」と「アート」の楽しさを届ける活動を行っています。
教員時代、放課後になると図工室に集まる生徒を見ていた水野さん。遊ぶ場所がないから来ているのだと言う生徒の声を聞いて、いつか皆が自由に遊ぶことができる場所を作りたいと思ったといいます。
「ズッコロッカ」は「図工しよっか」から思いついた言葉だそうです。アトリエ内にはたくさんの道具やスペースが用意されており、何か作りたい!と思ったときにすぐ行動できる環境が整えられています。さらに織物を体験する「オロッカ」や金継ぎを学ぶ「ナオソッカ」などの様々なイベントも行っているそうです。
自分にとっての遊びとは?という質問に、水野さんは「人生そのものです!」と素敵な笑顔で答えます。
「遊びは白紙からは生まれません。人がいて、物があって、輪ができて、些細な日常の余白から遊びが始まるのだと思います。全てのつながりが人生の学びになっていて、学び続けることで新たな自分を発見したり、知らなかった価値観に気づいたりできるんじゃないかって」
トークイベント終了後も、城さんと水野さんを囲んで質問や雑談で盛り上がっていました。参加者の皆さんにとっても有意義な時間になったのではないでしょうか。
無印良品 500のオリジナルマイバッグづくり
星天qlay Bゾーンの2階にある「無印良品 500」では、マイバッグ作りのワークショップも開催されました。
無地のバッグにクレヨンで好きな絵を描いて、上からアイロンをかけることで絵を定着させることができるそうです。店内ではお菓子の試食会も行っており、アイロンの待ち時間に一休憩。
店舗の近くには「ホシテンクエスト」のミッションも設置されており、クエストで店舗を訪れた際にマイバッグを作っていく親子がたくさん見られました。
表現とアートを考える、Hygge(ヒュッゲ)の時間
北欧文化の一つである「Hygge(ヒュッゲ)」をご存知でしょうか。ヒュッゲとは、日常の中にある居心地の良い空間や時間のことを指します。Bゾーンのqlaytion galleryでは、午後から「Hygge〜サーカスアーティストの姉とデンマーク留学をした妹が考える、表現するということ〜」と題したトーク&パフォーマンスイベントが行われました。
qlaytion galleryで活動をするHarchの丸山さんは学生時代のデンマーク留学を経て、人と自然の共存と持続可能な暮らしを目指すパーマカルチャーに興味を持ちました。
「日本では、新しいものに価値がある、と考える人が多くいると感じます。例えば最新型のスマートフォンが1番カッコいいみたいな。でもデンマークでは、かなり前の世代のスマートフォンを使っている人がほとんどなんです。新しいから良い、という考え方があまりないことに驚きました。」
世の中に無駄なものはない。全てのものにその良さを生かせる場所がある。丸山さんは、デンマークの暮らしが「循環すること」の大切さを教えてくれたと言います。イベントでは「循環を、遊ぼう」というテーマで、留学中の体験や現在の取り組みについて語ってくれました。
丸山さんのトークの後に、ハッと息を飲むような見事なパフォーマンスを行ってくれたのは実姉のMarikaさん。Marikaさんはサーカスアーティストとして、イベント等でのパフォーマンスやアートモデル、モーションキャプチャーモデルなど、身体表現を用いて幅広くご活躍されています。
5歳の頃から続けた新体操を辞め、身体の柔軟性を極限まで活かした身体表現・コントーションの道に進み約12年。Marikaさんの呼吸に合わせて空気がゆらりと揺れ、滑らかで自由、繊細で大胆な四肢の動きに圧倒されます。
パフォーマンス後は、参加者の皆さんとお二人のトークタイムに移りました。デンマークでの暮らしの様子やMarikaさんの経歴についての質問が飛び交い、学びとアート、自由な表現についてたっぷり考える2時間になりました。
子ども1日店長による地域のお店の出張販売
Dゾーンの「YADORESI」では、地域のお店でお仕事体験をした子どもたちが1日店長としてお弁当やお菓子を販売しました。
「いらっしゃいませー!甘くて美味しいですよー!」
声を張り上げる子どもたちに、通りすがりの人々が興味津々に近づいてきます。メニューや値段表も全て自分たちの手作りです。
午後には売り切れが続出し、子ども店長も次から次へと訪れるお客さんの対応に大忙しです。お互いに声をかけ合って、仲良く相談しながら販売をしている様子にご両親もほっこり。子どもたちにとって忘れられない思い出になったのではないでしょうか。
PILEでのものづくり体験
月に1度の開放日だった、クリエイター向けコワーキングスペース「PILE」。「新たな創造のための、自由な協働空間」をモットーとし、各地から様々なアーティストが集まってきます。
PILEはモノづくりの楽しさと向き合い、知識や技術を共有しながら互いに刺激を受けることができる特別な空間です。ここではデスクワークはもちろん、写真や動画の撮影、木工制作やイラスト制作などの手仕事作業もすることができます。この日は広々とした室内の一角に、クレヨンや木片などのある子ども用スペースが用意されていました。
はっぴーばーすでーズの美しい歌声に包まれるクライマックス
イベントの最後を飾るのは「はっぴーばーすでーズ」のライブです。
はっぴーばーすでーズは「YADORESI」の住民とご近所さんで結成された、アコースティックバンドです。“出会い”をキーワードに、遊び心のあるライブをしようと企画された今回のライブでは、『星の王子様』のワンシーンの朗読と音楽をかけ合わせた魅力的なパフォーマンスを披露してくれました。
ボーカル・みほさんの真っすぐで透き通る歌声に、思わず感極まるシーンもありました。最後は皆で「カントリーロード」を合唱してパフォーマンスは終了。心に優しく響く素晴らしい公演でした。
最後に
高架下でつながる、遊びと学びのつまった素敵なコミュニティ。
衣・食・住・消費・働き方・コミュニケーション…様々な切り口から好奇心にアプローチし、多様な価値観のもと「生きかたを、遊ぶまち」というコンセプトを掲げる星天qlay。
遊びとは、学びとは何か。人生の余白をどう生きるか。難しく考える必要はないのかもしれません。日々の出会いや縁、好奇心が赴くままに辿りついた場所、ちょっとした余白を楽しむ心こそが、新しい自分を見つけるきっかけになるかもしれませんね。
このホシテンピクニックが、皆さまにとってワクワクする思い出になったら嬉しいです。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!