星天qlayとは

2025.02.06

【前編】あたたかみのある星天というまちで、人とつながり、変化を楽しむ/生きかたを、遊ぶ住まい「YADORESI」

相鉄本線・星川駅~天王町駅間の高架下約1.4kmにまたがる施設「星天qlay」。2023年2月より、5つのゾーンが順次オープンしています。

Dゾーンには全22部屋のシェアレジデンス「YADORESI」があり、住人たちは変化や気づきを楽しみながら、それぞれの「生きかたを、遊ぶ」を暮らしや働き方の中で体現しようと試行錯誤しています。YADORESIに暮らしながら、星天qlayや地域のつながり・にぎわいづくりを担うのが「コミュニティビルダー」という立場の住人です。

YADORESIの運営を行うYADOKARI株式会社が掲げる「リビングコストゼロ」を体現しており、活動期間中の家賃は無料。お金ではかることのできない価値を生み出すために、日々試行錯誤しながら、このまちに変化をもたらしています。

今回は、2024年4月よりコミュニティビルダーとして活動する日置法男さん(ノリさん)、そして12月より新たにコミュニティビルダーとしての活動をスタートした大越瑞生さん(こっしーさん)、北見紗葵さん(キキさん)の3人に、コミュニティビルダーとしての活動や、このまちへの思いを聞きました。

 

2人の頑張りを引き継いで

YADORESIがオープンしてすぐの2023年5月に入居したノリさん。YADORESIを知る前は星川に来たことがなかったというノリさんは、なぜYADORESIに住み、コミュニティビルダーとして活動することになったのでしょうか?

ノリさん「YADORESIを運営するYADOKARI株式会社は以前から知っていて、ビジョンにも共感や親しみを持っていました。僕は人と関わったり、まちに開けた家に暮らしたいという想いがあったので、直観でYADORESIへの入居を決めました」

1年ほど生活した後、2024年4月よりコミュニティビルダーとしての活動をスタートしたノリさん。新たな暮らし方を選んだ背景には、前任のコミュニティビルダー2人への想いがあるそうです。

ノリさん「初代コミュニティビルダーであるチカさん、みゆうさんが、星天qlayという新しくできた施設で、0から1を作るために頑張っている姿を間近で見ていました。みゆうさんがYADORESIを卒業し、新しいコミュニティビルダーを募集するタイミングは、0が1になる一歩手前の時期だったように感じたので、その最後のひと押しをやるとしたら、2人の頑張りを見てきた人が、チカさんのバディになるのが良いと思い、コミュニティビルダーに応募することに決めました。

1年暮らしてみて、このまちはさらに面白くなると確信したことも理由の一つです。星天qlayというお皿の上に、面白がっていろいろなものを作ろうとする魅力的な大人だったり、まちの文化や空気感を肌で感じられた1年でした。まちのことを知ったうえで、このまちで何かをやってみる、始めてみる過程に携われるのだとしたら、自分のこれからの人生にとって良い経験になるのではないかと感じました。住民として暮らした1年で見聞きしたことがあったからこそ、飛び込むことができたと思います」

 

これまでの歩みがつながり、たどり着いた場所

2024年12月よりYADORESIに入居し、新たにコミュニティビルダーとして活動することになったこっしーさんとキキさん。お二人はなぜコミュニティビルダーに応募したのでしょうか?

こっしーさん「募集を見て、自分が今までやってきたことが全てつながるなと感じました。僕は地元・茨城で理学療法士として働いていた病院を退職してから地域活動に力を入れるようになったのですが、いろいろな人と会って、人をつないでいく活動に名前がつかないもどかしさを感じていました。

そんなときに行き当たったのがこのコミュニティビルダーという肩書きで、『自分が今までやってきた言葉にしにくい活動はこれだったんだ』と感じて、応募を決めました」


キキさん「地域活動に携わる理由を一言で言うと、私が生きやすくなるからです。私は現在大学を休学中で、4月から復学して4年生になります。

地域活動に興味を持つきっかけをくれたのは、高校時代の社会科の先生でした。私は中学3年生まで習い事一筋で、遊びや人と触れ合う時間が少なかったこともあり、高校にあまり馴染むことができませんでした。しかしこの先生にだけは心を許すことができ、炊き出しやホームレスの方のところなど、いろいろなところにフィールドワークやボランティアに連れていってもらいました。

東日本大震災の被災地で、泊まりこみで地域の人たちの暮らしや仕事のお手伝いをさせていただいたことがあったのですが、人と一緒に作業をする、働く、挨拶をする、暮らすという人間の営み、人間らしさに私自身が救われた感覚があったんです。そんな背景があり、地域コミュニティについて学べる大学に進学しました。

入学してから3年間、参与観察(※)も兼ねていろいろな地域に滞在したり、共創施設でコミュニティ運営に携わるスタッフとしてアルバイトをしたりしました。3年間のさまざまな活動を経て、自分は衣食住、そして遊びという軸を改めて大切にしたいと思っていたときに、『生きかたを、遊ぶ』というコンセプトを掲げる星天qlayのコミュニテビルダー募集を見つけて、応募に至りました」

(※) 参与観察……調査対象である集団に参加し、観察する調査

 

自然体で、化学反応を起こしていく

全く異なる人生を歩み、YADORESIにたどり着いた3人。新たにコミュニティビルダーになったこっしーさんとキキさんに、意気込みを聞きました。

こっしーさん「コミュニティビルダーは、会社員のように数値目標を追う役割とは少し違っていて、良い意味で「遊べる余白」があると思っています。人と人をつなげることが重要な役割の一つなので、自分自身もゆとりを持ちながら、遊ぶようにこの役割を楽しんでいきたいですね。結果として『遊んでいるうちに人が集まった』、『経済が豊かになった』という形が理想的だと思います。

コミュニティビルダーの存在意義は、そんな風に余白や『生きかたを、遊ぶ』という価値観を体現することだと思うので、たくさん人を連れてこなきゃ、イベントを成功させなきゃとプレッシャーに追われるのではなく、自然体で、暮らしや遊びを楽しんで、良いムーブメントを起こしていきたいです」

キキさん「私はまちを大きく変える変革者ではなく、身近な人に寄り添いながら、コーヒー一杯を一緒に飲むところからつながりを生み出していきたいと思っています。一緒にコーヒーを飲みながら、「今度読書会をやろうよ」と新しいイベントが自然に生まれていく。大きくてすごいことをするのではなく、日常の中で自分のちょっとした特技を生かし、人との出会いを築きながら、寄り添い、つながりを大切にし、皆さんと一緒にやりたいことを考え、作り上げていきたいです。

 星天エリアにはもう既に活動をしている方が多いので、私たちがやるのは旗を振って先頭に立つことではなく、今あるものにプラスアルファして化学反応を起こすことだと思っています。シェアレジデンスだからと構えることなく、『あの隣人、どんな人なんだろう』という感覚で気軽に話しかけていただきたいですし、私も一隣人として、皆さんをお助けできたらなと思っています。一地域住民として、ぜひ皆さんと一緒に暮らしを作っていきたいです」

 

まちとつながる、はなれマド

YADORESIを象徴するのが、各個室を出た廊下の先にある、窓付きの小さなスペース「はなれマド」。ギャラリー、作品の展示、制作スペース、物品販売所などの小商いや自己表現ができ、マドの向こう側はまちとつながっています。

日常的に展示を行ったり、制作や仕事をしたり、イベント時にワークショップや物販をしたりと、YADORESI住人や地域の方々が個性豊かな使い方をしています。なかでもノリさんは、自身の趣味・仕事である本、旅、ラジオをかけあわせた「本とラジオの旅行社」という私設ライブラリーを開いています。

ノリさん「毎週土曜日の朝に、はなれマドを活用して『本とラジオの旅行社』を開いています。1年半以上続けており、オープンしている日に顔を出してくれる人もいます。本を通じて、常連さんや顔見知りの方が少しずつ増えてきているものの、はなれマドをもっと活用して、まちの方とおしゃべりできたらと思っています。

また、自分の世界観に共感してくれる人を招いてイベントをするなど、外から星天エリアに人を連れてくるような活動ももっと力を入れてやっていきたいと考えています」

2024年1月の星天qlayフェスの様子

キキさん「私は、自転車が最も地域を知ることのできるツールだと思っています。歩きだとたどり着くことができない、かといって車だと通り過ぎてしまう。自転車はそんな風景に出会うことのできる『25キロという魔法の速度』の乗り物だと思うんです。

それを自分なりの新たな視点でアウトプットしたいと思い、現在PILEさんのお力を借りながら展示物を製作しています。

これからこのまちのことをもっともっと知って、いつかこのまちで過ごした集大成として、ダイワサイクルさんとコラボレーションして自転車で地域をめぐるツアーをやりたいと思っています」

 

こっしーさん「僕は日常的にはなれマドの内側に座って、YADORESIの前を歩く人とコミュニケーションを図りたいです。月に1度YADORESIを開放しているオープンデーの日は、発表や展示をするなど、はなれマドというコンテンツを活かして面白いことをしていきたいと思っています。試行錯誤しながら実験して、はなれマドを遊んでいきたいです」

 

コミュニティビルダーとして、熱い想いを持ってこの場所で暮らす決意をした3人。インタビュー記事の後編では、星天というまちへの想いをお届けします。

 

▼後編はこちら
https://www.hoshiten-qlay.com/magazine/1295/

 

取材・文/橋本彩香

 

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